国立歴史民俗博物館研究報告第166集「紀州徳川家伝来楽器コレクションの研究」2012年09月04日 23:20

国立歴史民俗博物館研究報告第166集「紀州徳川家伝来楽器コレクションの研究」
国立歴史民俗博物館研究報告第166集「紀州徳川家伝来楽器コレクションの研究」

2006年から2008年にかけて行われた基盤研究の報告書。
笛(篳篥・龍笛・高麗笛・神楽笛・能管)のX線写真がカラー、実寸3/5で掲載されている(篳篥は実寸)。

この写真がすばらしい。

龍笛の修理の痕跡、能管の喉の部分の細工、頭部の錘など、この方法でなければ決して目にすることのできない画像である。人体の骨格写真のように生々しい印象さえ受ける。
龍笛のうち一点には、仏像の形をした錘が写っている。

これまで、この種のまとまった画像は下記二点くらいしかなかった(と思う)。

①安藤由典「能管の音響学的研究(その1)」『音楽学』第12巻、音楽学会1966所収
②小島美子・神庭信幸「フエの源流と改造」『日本楽器の源流―フエ・コト・ツヅミ・銅鐸―』国立歴史民俗博物館1995所収

①は能管の喉について現在に至るまで唯一の科学的調査である。②の調査対象は歴博の所蔵品だから今回の報告第166集と同一だが、掲載されている写真は喉の部分のみである。①は古いのでおそらく入手は困難(国立能楽堂の資料室にはあるらしい)。②は非売品だが古書として入手可能。

国立歴史民俗博物館
http://www.rekihaku.ac.jp/index.html
公開データベースで楽器の外観を写真で観ることができる。
研究報告書もこのサイトで購入可能。

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